遠大でささやか

昔読んだ本に

尊大な振る舞いであったご主人が

脳梗塞か何かで寝込むことになる

床に伏しても言葉遣いは変わらず

「りんごを切ってくれ」

奥様はりんごを切りまして

床まで持っていきます

ギリギリ手の届かないところにお皿を置きまして

その場を去ります

「おーい 手が届かない」

奥様我が意を得たりと傍に行き

「りんごも食べられないのですか」

「しょうがないですね はい アーン」

奥様の復讐が始まったのです

遠大でささやかな復讐の始まりです

彼は死ぬその時まで屈辱の日々の只中で暮らすことになります

 

この数日ぎっくり腰で

からだを前に向けたり

下を向いたりが思うように出来ない

妻にワインを入れてもらったり

TVのリモコンを取ってもらったりするのですが

ちょうど手の指の届かないところに置かれる

これって遠大でささやかの復讐のプロローグなの?

まさかね!?

 

んなわけないよね!