ハドソン川にて・・・

ニューヨークとニュージャージーの州を隔てる

ハドソン川の河口付近の河川敷

もう目の前は大西洋だ

 

言い争う声が

その方向に目をやると

え!まさか・・・!

圭?

100kgをゆうに超えてそうな黒人と掴みかからんばかりに言い争ってる

横で立ちすくんでいるのは宮様???

不安そうに「Kei! Stop Stop It!」叫んでおられる

アルミ缶の奪い合いをしておるようだ

男は冷静に流暢な英語で取り分を取りまとめ

大男もしぶしぶだが納得をしたのか

なんとかことは収まったようだ

「圭 無茶はしないでください」と宮様

「大丈夫だよ おれのディールはこんなものさ!」

手にあまるほどのアルミ缶を抱え

宮様うれしそう

 

動きそうもない朽ちてしまってるバスが現在のお住いなのか?

陽光の下 真っ白のシーツがはためいている

粗末な椅子に二人座りアルミ缶の選別を始める

日本では見たこともない笑みで見つめ合う二人

宮様は少し太られたようだ

「宮様幸せなのか?」

ふと横に目をやると遠巻きに

2mはありそうな屈強なブラックスーツの男が数名

インカム越しに「All Clear」「All Clear」「Yes to」

警護しているのか?

 

どうぞお幸せに

溢れる涙を拭いながら

ハドソン川から遠ざかる私

陽光は二人に優しく降り注がれ

風は日差しに寄り添い

季節は眠っているかのようだ

”I wish you all the happy.”